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能楽その3 お仕舞いと日本舞踊の共通点は「肩」にアリ?!

 

「今まで何回、能を見に行ったことがある?」と聞かれたら、「3回です」とハッキリ答えることができてしまうくらい、能にほとんど縁がなかった私。そんな私が、恐れ多くも、大島先生にお稽古をつけていただけるなんて…いいのだろうか?! と思いつつも、図々しく参加させていただくことにした理由のひとつは、「能の動き(仕舞い)って、一体どうなってるんだろう?」という興味が以前からあったからでした。

というのも、私は日本舞踊を習っているのですが、踊りには能狂言の動きを取り入れたフリも多いんです。武家の式楽だった能は、庶民にとって憧れのハイカルチャーだったわけで、いろいろマネっこして取り入れていたのでしょうね(笑)。そんなわけで、「お能っぽい」感じならちょっとは分かるかも…なんて思いつつ、お稽古に参加することに。

 

鏡板のあるお稽古場で、『聖王母』のお仕舞いを教えていただきました。

鏡板のあるお稽古場で、『西王母』のお仕舞いを教えていただきました。

 

しかし。いざお稽古していただいてビックリ。何に驚いたかというと、当然と言えば当然なのですが、日本舞踊と能では、動きのルールが、全く違う! 例えば、日本舞踊では、上半身をできるだけ反らしますが、能では、上半身は前のめりが基本。日本舞踊では、左足と右手が連動しますが、能では、右足と右手が連動する(ナンバ)。日本舞踊では、さし出した舞扇は伏せ気味にしますが、能では、さした舞扇は上に向ける。などなど。

まったく未知のルールに貫かれた動きを体験し、「こ、これがお能か…!」と小さく感動。私も普段、「日本文化」とか一言で言ってしまいがちですが、そのそれぞれが全く異なった世界を持っていることを、改めて実感したのです。日本文化、奥深い。

ところが、大島先生がお稽古の最後に、こんなことを仰いました。

能では、止まっている時も、体中にエネルギーが充満しています。例えば、コマが回転している時にこそ止まって見えるのと同じで、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態。でも、だからと言って、体中に力を入れているわけではないんです。特に、肩に力は入れません。肩の力は、抜く! 肩には一番、力を入れたらダメです

あっ。これは…日本舞踊と同じではないですか!! 私も踊りの師匠にいつも「肩の力を抜いて〜」と言われていますが(笑)、これが難しいんですよ。これができれば、かなりの上級者、っていうくらい。

そういえば、キモノの着付けも、肩に力が入ってると着崩れます。さらに言えば、仕事も人生も、肩に力が入りすぎると失敗しがち(笑)。このあたり、実は大事なポイントなのかも。うーん。やっぱり、日本文化、奥深い!

いつもの癖で、さした扇を伏せてしまいがちな私。正しくは、大島先生のようにスッと真っすぐ(少し上向き)に。

いつもの癖で、さした扇を伏せてしまいがちな私。正しくは、大島先生のようにスッと真っすぐ(少し上向き)に。

 

 

(by 井嶋ナギ

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