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日本舞踊その1 踊りの回路

Text by ここんM

長唄三味線のおけいこ発表会が目前に迫る中、「おけいこの時間」の次なるシリーズ「日本舞踊編」がスタートいたしました!

日本舞踊にはたくさんの流派がありますが、今回我々がたたいた門は尾上流(おのえりゅう)。昭和23年、歌舞伎役者の六代目・尾上菊五郎によって創立された流派です。そして教えを乞うのは贅沢にも家元の尾上菊之丞(おのえ・きくのじょう)先生
三味線の栄八郎先生にも「すごいとこ行くな~」と半ばあきれられましたが、これまでもそうであったように、芸の魅力を伝えるにはやはり魅力ある先生でなくては、というのが我々のモットーです!

稽古場に到着すると、スタッフの方に案内されてお着替え場所へ。今までのおけいこは洋服でもOKなものばかりでしたが、日本舞踊はそうはいきません。踊りの所作は和服あってのもの。ということで、お互いサポートし合いつつ浴衣にチェンジ。
着るものの効果というか、洋服から浴衣へ着替えることでざわざわとした日常が切り離され、おけいこへと気持ちが向かいます。緊張と不安、それを上回る期待と興奮に包まれる中、次第に日常とは別の、幸せな時間が流れ出す。この時間軸が切り替わる感じは、私が稽古場というものに吸い寄せられる大きな魅力の一つです。
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P1000987今回のお稽古場は思わず背筋が伸びるような凛とした空気に満ちています。創流以来、70年近く使ってきた稽古場の檜板を今年の4月に張り替えたばかりとのことで、そんなところへ我々が足を踏み入れてもよいのだろうか?と、恐れ多い気持ちがさらに増したところで先生のご登場。
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ジャーン! 尾上菊之丞先生です。
柔和なスマイルもさることながら、この空間同様、非常に清らかな空気をまとっていらっしゃる。
おけいこは3か月間で全6回。これまでのように1曲仕上げる、というには全くもって足りない数ですが、「何か娘の踊りの一節をやってみましょうか」と先生。
にこやかなお話ぶりに一同の緊張もやわらぎ、いよいよおけいこ開始です。

 

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まずはじめは錆びついた身体をほぐすところから。呼吸を意識しながら、先生の動きを真似て腕を上げたり伸ばしたり。続いて、日本舞踊の「基本のキ」であるすり足での歩き方、扇の持ち方&扱い方、そして床をドンと踏む足踏みなど、一連の基本動作を教わりました。先生の一挙手一投足はどれも隅々まで美しく、それをこの至近距離で拝見できる幸せをかみしめていた1時間半と言っても過言ではありません。

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しかし見ているばかりじゃなく、それを真似するところが本題です。菊之丞先生は「素直に、見たまんまをやってみてください」とおっしゃるのですが、脳内のイメージ通り身体を動かすのは思った以上に難しい。特に「歩く」など、ふだん無意識でやっていることほど難しく、意識的にやろうとすればするほど身体はギクシャクし、美しさとは程遠く…。踊るということは、日常の身体の動きとは別の回路を一つずつ開発していくみたいなものなのだなと感じました。

6回というわずかな期間ではあるけれど、私にも1つでもそんな回路ができたらいいなぁ、あの美しい動きに通ずる回路が。錆びついたわが身に打ちのめされつつも、先生の美しさがいつまでも余韻として残っていた初回のおけいこでありました。


日本舞踊その2 身体で覚える>>

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