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長唄三味線その9 助手をください

Text by ここんN

初春から始まった越後獅子との格闘も、夏を前にしてようやく先生が抜粋してくださった部分をひと通り浚い終えました。曲の最後を締めくくる「ジャーン」という音を悦に入って弾いていると、「じゃあ、この辺りを通して弾いてみましょうか」と先生からのご提案が。

「お~、ついに!」と調子よく弾き始める私達。しばらく弾いたところで、はたと「あら?弾いている最中って、どうやって楽譜めくればいいの?」という問題に気が付きました。
これまでの練習曲は1ページの楽譜でおさまっていたので気が付かなかったのですが、越後獅子は数ページに渡ります。全てを暗譜する力がまだない私達は、どうしても何度か楽譜をめくらねばならないのに、これが意外と難しい。ようやく部分練習からステップアップと浮かれていたら、思わぬところに地味に手ごわい壁が待っていました。

初心者の私達にとって、三味線の構えはバランスを取るのがまだまだ難しいです。
何とか安定するポジションを見つけて弾き始めても、今度は右手は肘で三味線の胴を押さえ、手は撥を握っているので忙しい。左手は三味線の棹を支え、勘所を押さえているので忙しい。こんな両腕大忙し状態でどうやって楽譜まで手を伸ばせと言うのでしょうか~

「私の手は今大変忙しいため、楽譜をめくっている暇などございません!」と心の中ではもはや涙目です。ワトソン君のように賢くなくていいので、良いタイミングで譜面をめくってくれる心優しい助手が欲しい!

しかし現実はひとり。
恐る恐る棹を支えている左手を離し、目の前の楽譜を「えい!」とめくります。
とたんにぐらつく三味線。焦る気持ちに、乱れる撥。
当然ながら曲の途中なので、休符でめくっていたとしても、すぐに次の音を弾かねばなりませんし、場合によっては右手の撥は休まず弾き続けている時もあります。動揺で撥と勘所が落ち着かず、音やタイミングを間違えたり見失ったり。
大人が数人集まって、子供のようにアワアワしながら楽譜をめくっている姿はなかなか滑稽で、稽古場に思わず笑いがおきます。

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三味線を身体の一部のようにごく自然に扱う先生を拝見していると、いとも簡単に見えるようなことも、自分でやるとなると些細なことも雲泥の差。先生のように、とはいかなくても、せめて落ち着いて三味線を構えていられるようにはなりたい。

三味線のお稽古は最初のうちは間を開けずに頻繁に通うことが大事だよと以前教えてもらったことがあるのですが、それを改めて思い出しています。一度教えてもらった構え方も、自宅で練習している間に自己流になってしまうことが良くあるので、正しい形を身体が覚えるまで矯正が必要なのですね。

栄八郎先生も稽古中に繰り返し構え方やバチの持ち方を直してくださいます。正しい形で構えられれば、多少動いても手を離しても演奏の速度が速くなっても慌てずに済むはず!

そんなわけで、今後の課題に「もう一度正しく構えること」と「平気な顔をして楽譜をめくること」が追加されました。顔は別に関係ない? いやいや、暗譜が出来るまでは、せめて格好良く楽譜をめくりたい初心者心です。


<<長唄三味線その8 ドとレの間に、音は無数にある。
長唄三味線その10 譜面には書かれていないこと>>

楽器協力:株式会社SEION
稽古場協力:穏の座

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