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長唄三味線その6 おけいこの合間に

Text by ここんN

4月。新しい環境での暮らしが始まった方もいらっしゃるでしょうか。ここんの面々も仕事や家庭、学校のスケジュールを少しずつ調整しながら、いそいそとお稽古に通っております。

伝統芸能に限ったことではないですが、お稽古のスケジュールは先生によって様々です。カルチャーセンターでは曜日を決めて定期的に開催されるのが一般的ですが、師匠の稽古場に通う場合は、先生がお仕事のスケジュールに合わせて、その都度お稽古日を設定されることも多く、今お世話になっている杵屋栄八郎先生もお仕事の合間をぬって、稽古時間を作ってくださっています。
で、先月~今月前半はお忙しいため我々の稽古は小休止。宿題をいっぱいもらって自主練習の日々を過ごしています。

一人で練習するのは寂しいなぁ、となる所ですが、集まらなくても賑やかなのがお稽古仲間。

ある晩、稽古仲間のKさんから短い一斉メールが届きました。
「これからNHKに栄八郎先生が出るよ」
簡潔。そして突然。
急に言われても、こっちは仕事中で見られないよー!

しばらくして、別のMさんからもメールが。「みましたー。手首の角度とか、左手の動かし方とか、そんなのばっかり見ちゃいました。たのしー」。ほうほう、三味線特集か何かだったのでしょうか。翌日会った他の仲間も「先生の手の動きがね・・!」と話し出すので、益々期待が高まります。数日後、ワクワクしながら再放送を録画して、いざ再生!

三味線特集・・・ではありませんでした。
先生・・・ちっっちゃー!!

そのテレビとはNHK「にっぽんの芸能」という番組で、先生のご登場は『舞踊 男女道成寺』でした。つまり、日本舞踊公演の地方(伴奏者)として出演された舞台映像です。

さて、ここでご想像ください。160401_01
国立劇場の大ホール(1,600人収容の3階席まである大劇場です)の大きな舞台に、道成寺のこれまた大きな釣鐘、満開の桜、背景には美しい山々が広がり、主役は躍動感のある素晴らしい舞踊家お二人、舞台奥に山台が組まれ、真っ赤な毛氈の上に桜色の裃を着てずらりと居並ぶ三味線、唄、お囃子の奏者およそ20名。

この華やかな映像を見ながら、うちの人達は、三味線方として舞台奥で演奏する先生の手の話だけをしていた模様です・・・。

テレビにズーム機能でも付いているのかと可笑しくなりながら、私も拝見。
・・・はっと気付いたら三味線ばっかり見ていました。3回ほど巻き戻してようやく落ち着いて踊りも楽しめるという有り様です。人のことは言えません。ごめんなさい。
なお、この後さっそく先生の手を真似て弾いてみたのは言うまでもなく。
なんとなく上手になった気分!

160401_05
160401_06また、とある週末は、栄八郎先生や唄のお稽古でお世話になった今藤政子先生が指導されている京都の芸妓さん・舞妓さんが出演される舞台があると聞いて、稽古仲間と京都へ。

訪ねたのは京都五花街のひとつ、上七軒。満開の桜に出迎えられ、上七軒歌舞練場で毎年春に開かれている「北野をどり」を拝見しました。

華やかな踊りはもちろんですが、舞台の脇にずらりと並んだ三味線方と唄方の芸妓さん達に、「きれいだねぇ、カッコいいねぇ」とただただ見惚れる我々でした。
この後、芸妓さんになったつもりで弾いてみたのは~、以下同文。

おけいこの無い日も、何かと楽しいおけいこの日々です。

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楽器協力:株式会社SEION
稽古場協力:穏の座

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