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長唄その6 めざせ日本人

蒸し暑~い夏の夜、威勢のいい「供奴」の音源を聞きながら、6回目のおけいこへとやってまいりました。迎えてくださった政子先生の浴衣姿が何とも涼しげです。
先生、今日もよろしくお願いいたしまーす!

s_R0102503a正座をして先生にご挨拶すると、疲れも暑さも何処へやら、さて頑張ろうという気持ちが湧いてきます。
来る前より元気になるから稽古場って不思議。

この日はついに「ちらし」と呼ばれる「供奴」最後の段の稽古に入りました。初めてお手本を聞いた時は難しそうで冷や汗をかきましたが、あれよあれよと最後まで。手探り状態でも繰り返し聞いて唄っていると、何となく流れが掴めてきて、ゆったりとした中盤の難所を越えた今、テンポの良い後半部分はぐんぐん楽しくなってきました。
邦楽を聞いても全部同じに聞こえてウトウトしがちだったこの私が、長唄を楽しいと思える日が来るとは。なんでも始めてみるもんですなー!

と調子に乗っておりますが、私には大きな課題がひとつ。
歌声が時々「外国語なまり」になるのです。

どういうことかと言うと―、例えば「こんにちは」という言葉。
日本人が発音する「こんにちは」と、外国の方の「KON-NI-CHI-WA」では、意味は通じても音や抑揚がだいぶ違いますよね? 私の唄もそれに近い違和感があって、日本人らしく唄えている所もありますが、結構な割合で外国語なまりの音がします。これがなんともうさんくさい。

流暢な英語力が邪魔するわ~…とかでは全然なくて、発声の仕方が問題なようです。
どうもその昔合唱部や声楽のレッスンで学んだ発声法が、十数年たった今、変な癖になって残ってしまっているみたいでして。日本語しか話せない私が日本語を日本語らしく唄えないって悲しすぎませんかー!
こりゃあもうカッコいい日本語の唄い方を取り戻すべく、長唄の稽古に励むしかありません。

先生の唄う言葉は、自然で且つカッコいい。「地合い」と呼ばれる台詞っぽい部分はもちろん、唄の部分もまるで話し言葉のように活き活きしていて、ついつい真似したくなる格好良さです。

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そして当然、真似てすぐに出来る訳もなく「毎度撃沈するの図」。あいたたた。

でも失敗すると先生がひとりひとりに丁寧にアドバイスをくださるので、どうすればお手本に近づけるのか道が見えてくるのがまた稽古の面白いとこですね。

口の開け方や長唄らしい間のとり方など、先生の説明はいつも具体的で分かりやすいなぁと思っていたら、なんと以前ドラムも(!)習っておられたそうな。
邦楽になじみが薄い私にも理解できる言葉で説明してくださるので分かりやすいのかな。

 

伝統芸能のお師匠さんと聞くと「小さい頃から、この芸だけを一心に磨いて参りました!」みたいな勝手なイメージがあるのでちょっと驚いたけど、この時代に生きていればいろんなことに挑戦されていて当たり前か~。
あれこれやってみたい自分と重ねて勝手に親近感が湧いております。
(稽古の深度は全然違うと思いますけども!)

ちなみに、のんきな生徒からは、さらっとアドバイスをくださっているように見えるのですが、先生曰く初心者に唄の稽古はなかなか難しいのだそうです。
例えば三味線なら、バチの角度や指の位置を「ああして、こうして」と目で見て教えられますが、唄は喉の状態も声の出し方も外からは見えません。
さらにはひとりひとりの持っている楽器、つまり身体が違う。だからこそ人によって異なる癖や傾向に気づいてあげることが、唄の稽古の難しさだと。
なるほどなぁ。

はたしてゆかた会までに私の楽器はうまく鳴ってくれるでしょうか。
痺れるようなビートを刻む先生の三味線に励まされながら、「目指せ日本人、いつかは江戸っ子、奴さん!」であります。

ここん新弟子N

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