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長唄その3 サボっていた声帯、再び。

長唄のおけいこ3回目。
富士登山に例えれば5合目から6合目あたりだろうか(登ったことないけど)。
この後に難所が控えているとも知らず、まだまだ歩みは軽快である。

長唄には「地合(じあい)」と呼ばれる、音程の決まっていないセリフっぽい部分が何か所かある。『供奴』で言えば、「がってんだ」とか「やっこらさ」という部分がそれで、下男の奴さんらしく威勢よく唄う。唄とセリフの中間のような感じで最初はなかなか抵抗があったのだが、だいぶ照れることなく唄えるようになってきた。
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この地合もそうだけど、長唄というのは言葉をとても大切にしているなーと感じることが多々ある。旋律よりも詞章に重きがあるというのだろうか。唄い方も西洋音楽のようにメロディに詩をのせるというより、言葉を語ることの延長線上に唄がある、そんな感じ。
そのためなのか、声も裏声ではなく地声(表声)が基本。地声が出る音域が人より狭いワタシは、すぐ声が裏返って合唱コンクールのような声になってしまうのだが、
「筋トレと同じで、ちょっとムリめのところでがんばって出していくと出るようになります」
と、能楽の謡の時に言われたこととそっくりおんなじことを言われた。そういえばあれ以来、私の声帯は負荷をかけられることもなく安穏とした日々を送っている。いや、むしろサボっている。ここらでいっちょ、鍛えなおさねば。
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そんな具合で、先生のお手本を何度も何度も繰り返し聞き、愚直にまねて唄う日々が続いている。料理をしながら、洗い物をしながら、洗濯物をたたみながら、唄う。風呂でも唄い、トイレでも唄い、掃除機をかけながらも唄う。長唄のリズムはそんな日々のあれこれに心地よく寄り添う。

ある時ふと気づいたら、うちの8歳児がレゴブロックで遊びながら『供奴』を口ずさんでいるではないか。しかも、ごていねいに三味線の間奏部分まで鼻歌で挿入しつつ。これまで謡、仕舞、小鼓、篠笛とやってきて、おけいこに励む母の姿にいぶかしげな視線を送るだけだった8歳児だが、長唄はいける口なのか。
かくして家庭内伝統芸能ステマ(?)の成功にほくそ笑みつつ、声帯をせっせと鍛え、長唄『供奴』という峰の頂を目指す今日この頃なのであった。やーっこらさ~♪
(ここんM)

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