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篠笛その5 和のお稽古をする、ということ

突然ですが、歌舞伎好きです。
歌舞伎との出会いは、2001年の秋。隅田川畔に出現した平成中村座。
桜席(舞台上に設けられた2階席)から見た「義経千本桜 小金吾討死」で、蜘蛛の巣にからめ捕られる小金吾を見下ろしながら、歌舞伎の魅惑にがんじがらめに捕らわれてしまった。その実感は十数年たった今でも、生々しく残っている。
それから後は、月に2度3度と歌舞伎見物に出かけるやら、能や文楽をのぞいてみるやら、着物の虜になるやら……。和の文化に傾倒する一方。
とはいえ和のお稽古は未体験のままだった。
初めてのお稽古で歌舞伎とも深い縁のある篠笛を、歌舞伎の舞台にも度々ご出演されている福原寛先生に教えていただけるとは!!

笛(篠笛と能管)は太鼓、小鼓、大鼓と並ぶ、歌舞伎に欠かせない囃方の一つ。女方舞踊の名作「京鹿子娘道成寺」をはじめ、長唄舞踊の数々、あるいは「春興鏡獅子」や「連獅子」で笛の音は時に優しく、時に憂いを帯び、時には切り裂くように鋭く、そして時には空間を華やかに彩るように、劇場の空気を満たし、観客の心をふるわせるのだ。

教本のページを繰ると、歌舞伎でも演じられる「越後獅子」や「娘道成寺」が載っているではないか!! これが吹けるようになるのは、まだまだ遠い先のことだろうけれど、いつかは、と夢は大きく膨らんでいく。

お稽古の合間に、先生が歌舞伎の裏話を披露してくださることも度々。
舞台の上にいる方から直接お話しをうかがう機会に恵まれるのは、歌舞伎ファンにとって、この上ない幸せ。遠い遠い雲の上の世界が、少しだけ近くなったような気がするのだ。
和のお稽古をする、ということは、こういう嬉しさもあるのだなと、しみじみと喜びをかみしめるのだった。

そして、お稽古は5回目を迎え、寛先生の師匠、四代目 寶 山左衛門(たから さんざえもん)先生が作曲した「山ざくらの歌」へ。
山左衛門先生は、長く空席だった歌舞伎囃子方の大名跡を継ぎ、人間国宝に認定された名人。お稽古を始めたばかりの初心者には難しい曲だけれども、あと3回先に迫ったおさらい会には、なんとかこの曲を吹けるようになろうと、決意を固めたのだった。

(中村千春)

長唄「越後獅子」にもちょこっとだけトライしてみました。音が出なくてもリズムが取れなくても、寛先生の三味線に導かれて吹くだけでかなり楽しい!

長唄「越後獅子」にもちょこっとだけトライしてみました。音が出まいがリズムが取れまいが、寛先生の三味線に導かれて吹くだけでかなり楽しい!

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